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住宅性能評価書の建売住宅での見方|見る欄を絞れば安心して選べます
2026.11.05 家づくりコラム
建売住宅(分譲住宅)の内見や契約前に住宅性能評価書を渡され、並んだ専門用語に戸惑う方は少なくありません。評価書は、見る欄を絞れば物件を比べる共通のものさしになります。この記事では、評価書の2つの種類、建売での取得状況、基本の見方、先に見たい4分野の等級を、初めての方にも分かるように整理します。
建売住宅(分譲住宅)の住宅性能評価書は、見る欄を絞れば性能を比べられる

住宅性能評価書を渡されると、10分野33項目という数の多さに身構えてしまいますよね。けれども、すべてを読み込む必要はありません。
評価書は、国に登録された第三者機関が全国共通の基準で住宅の性能を評価し、等級(性能の高さを段階で表した数字)などで示した書類です。どの建売住宅も同じ基準で表示されるため、見る場所をそろえれば物件どうしを比べやすくなります。
先に見たいのは、耐震(地震への強さ)・劣化対策(構造の腐食を抑える対策)・温熱環境(断熱や省エネの性能)・維持管理(配管の点検・補修のしやすさ)の4分野です。この4分野は制度上の必須項目にあたり、完成後に手を加えにくい構造や配管、断熱の性能を表しています。専門家でなくても、等級の数字を追うだけで物件の特徴をつかめます。
本記事では、次の流れで住宅性能評価書の建売での見方を説明します。
設計と建設の2種類 → 建売での取得状況 → 等級と表紙の読み方 → 4分野の等級の意味 → 評価書で分からないこと → 評価書がない場合
出典:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド(令和7年12月1日施行版)」
住宅性能評価書とは?設計段階と建設段階の2種類がある

住宅性能評価書は、2000年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく、住宅性能表示制度の書類です。利用するかどうかは任意で、評価は設計段階と建設段階の2つに分かれます。制度の全体像は国土交通省の解説ページで確認できます。
設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の違い
設計住宅性能評価書は、設計図書(図面や仕様書)を審査した結果です。建設住宅性能評価書は、施工中から完成までの現場検査を経た結果で、設計評価を取得していることが前提となります。現場検査は工程に合わせて複数回行われます。
| 比べる点 | 設計住宅性能評価書 | 建設住宅性能評価書 |
|---|---|---|
| 評価の対象 | 図面・仕様書 | 施工中から完成までの現場 |
| 分かること | 図面上でどの等級になる計画か | 実際の工事まで確認されたか |
| 現場検査 | なし | 工程ごとに複数回 |
| 紛争処理 | 対象外 | 指定住宅紛争処理機関を利用できる |
指定住宅紛争処理機関とは、弁護士会が運営する住宅トラブルの相談・あっせん窓口です。購入者にとっては、建設評価書があるほうが確認の範囲が広くなります。
建売住宅では評価書がどこまで付いているかを確認する
建売住宅では、評価書の付き方が物件ごとに異なります。
- 評価書が付いていない物件
- 設計住宅性能評価書のみの物件
- 設計と建設の両方がある物件
完成済みの物件は、後から設計評価も建設評価も取得できません。販売図面や資料の段階で、早めに確認しておきましょう。不動産会社には、次の4点を質問してみてください。
- 評価書はあるか
- 設計か建設か、または両方か
- 交付済みか、交付予定か
- 評価を受けた分野はどこか(選択項目は物件ごとに異なります)
評価書の見方の基本|等級の数字と確認する場所

評価書には多くの項目が並びますが、全部を読む必要はありません。まずは等級の数字の意味と、表紙の記載の2点を押さえましょう。
等級は数字が大きいほど性能が高い
基本の原則は、数字が大きいほど性能が高いことです。等級1は建築基準法レベルを示す目安で、上位の等級ほど上乗せの性能を表します。ただし、等級の上限は項目ごとに違います。
| 項目 | 等級の上限 |
|---|---|
| 耐震等級(地震に対する建物の強さ) | 3 |
| 劣化対策等級(構造の躯体が長持ちするための対策の程度) | 3 |
| 維持管理対策等級(配管の点検や補修のしやすさ) | 3 |
| 断熱等性能等級(外壁や窓などの断熱性能) | 7 |
| 一次エネルギー消費量等級(暖冷房や給湯などの省エネ性能) | 〈要確認: 上限の等級と、国土交通省の公表資料による時点・出典〉 |
等級の上限は制度改正で変わることがあります。最新の内容は国土交通省の住宅性能表示制度に関する公表資料や、評価機関でご確認ください。〈要確認: 参照する国土交通省の該当ページのURLと公表年月〉
耐震の等級3は、断熱の等級3とは意味が違います。数字だけでなく、その項目の上限と合わせて読みましょう。地盤の許容応力度(地盤が安全に支えられる力の限度)のように、等級ではなく数値で示す欄や、該当の有無で示す欄もあります。
表紙で「設計」か「建設」かを確かめる
手元の書類を開いたら、最初に表紙を確認します。設計評価書は図面上の評価、建設評価書は現場検査を経た結果という違いがあります。表紙のマークも、設計と建設で異なります。
- 「設計住宅性能評価書」か「建設住宅性能評価書」かを確認する
- 交付年月日と、評価した登録住宅性能評価機関の名称を見る
- 対象住戸の所在が、購入予定の物件と一致しているかを確かめる
設計評価書のみの場合は、完成後に建設評価書が交付される予定かを不動産会社に確認しましょう。
建売住宅でまず見たい4つの分野と等級の意味

評価書の10分野のうち、まずは耐震(構造の安定)、劣化対策、温熱環境(断熱・省エネ)、維持管理対策の4分野を見ましょう。いずれも後から変えにくい躯体や配管、断熱に関わる性能です。火災・空気・音などは評価を受けるか選べる選択項目のため、物件によって載っていないこともあります。
耐震等級(構造の安定)|地震や積雪への強さ
耐震等級は、地震に対する倒壊や損傷のしにくさを示します。等級1は建築基準法レベルで、等級2、等級3と上がるほど、より大きな地震力に耐える目安になります。
評価書には「倒壊等防止(大地震で倒れにくいか)」と「損傷防止(地震で壊れにくいか)」の2種類の欄があるため、どちらの数字かも確認しましょう。
雪の多い北陸(石川・富山・福井)では、耐積雪等級(屋根にかかる雪の重さへの強さ。多雪区域のみ)や耐風等級(強風への強さ)の欄も見ておくと安心です。多雪区域(自治体が指定する積雪の多い区域)に当たるかは、不動産会社に尋ねてみてください。地震保険料の割引の有無や条件は、加入する保険会社でご確認ください。
劣化対策等級|家が長持ちするための備え
劣化対策等級は、柱や土台などの構造躯体を、シロアリや腐朽、鉄筋のさびなどから守る対策の度合いを示します。
- 等級1:建築基準法で求められる対策
- 等級2:等級1を上回る対策
- 等級3:等級2よりさらに手厚い対策
等級は、大規模な改修が必要になるまでの期間を延ばす対策の目安です。保証期間ではありません。湿度や降水量が多い北陸では、床下や外壁まわりの湿気対策が家の寿命に関わります。建売住宅では、等級3が付いているかを確かめましょう。
断熱等級と省エネの等級|北陸の冬の寒さに関わる温熱環境
温熱環境の欄には、2つの等級があります。
- 断熱等性能等級:外壁や窓など、外皮の断熱性能を示します。基準となるUA値(外皮の熱の逃げやすさ)は地域区分ごとに違うため、評価書の地域区分も確認しましょう。
- 一次エネルギー消費量等級:暖冷房・換気・照明・給湯の設備を含む省エネ性を示します。
ZEH(ゼッチ:年間の一次エネルギー消費量が実質ゼロを目指す住宅)水準を満たすかは、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の両方で見ます。基準や等級は改正されるため、最新の内容は国土交通省の公表情報でご確認ください。冬の寒さが厳しい北陸では、室温や暖房の負担に関わる欄です。
維持管理対策等級|配管の点検や修理のしやすさ
維持管理対策等級は、給排水管・給湯管・ガス管などの配管について、清掃・点検・補修のしやすさを評価します。
壁や床に埋め込まれた配管は、傷んだときの交換が大がかりになります。点検口の設置や配管の配置といった対策が、どの等級で行われているかを確認しておきましょう。
- 等級1:特別な配慮が求められない水準
- 等級2:基本的な維持管理の対策がある
- 等級3:さらに配慮された、点検・補修しやすい配管
等級が高いほど、将来の配管工事の手間や費用を抑えやすくなります。
評価書だけでは分からないことと、現地で確認したいこと

建設住宅性能評価書(以下、評価書)は、性能を等級や数値で示す書類です。表示される等級や数値は、定められた方法で評価した結果です。住んでからの体感や実測値そのものを示すものではありません。
日当たり・間取り・周辺環境、仕上げの品質、引き渡し後の暮らしやすさは、評価書からは読み取れません。評価書の根拠となる現場検査は、決められた工程で行われ、確認には抜き取りも含まれます。施工の出来を完全に保証するものではない点は、知っておきたいところです。
内見では、次の項目を自分の目で確かめましょう。
- 冬の朝や夕方の日当たりと、窓まわりの結露の跡
- 玄関前や駐車場の雪の置き場、落雪の向き
- 床のきしみ、建具の開閉、壁紙や床の仕上がり
- 点検口の位置と、水まわりの状態
- 収納の量や家事の動線
不安が残るときは、建築士などによる第三者のホームインスペクション(住宅診断)の利用も選択肢です。契約前か、引き渡し前の内覧会に合わせて依頼できるか、不動産会社に相談してみましょう。
評価書が付いていない建売住宅はどう判断する?

評価書の利用は任意の制度です。付いていない建売住宅が、すぐに問題のある物件というわけではありません。評価書の代わりに、売主へ次の資料を確認すると、性能を判断する手がかりになります。
| 確認したい資料 | 見るポイント |
|---|---|
| 構造計算書・耐震等級の根拠資料 | 耐震等級の算定方法と、等級の根拠 |
| 断熱仕様書・UA値の資料 | 断熱材や窓の仕様(数値は物件により異なります) |
| BELSなどの第三者評価 | 省エネ性能を第三者が評価した結果 |
| 検査済証 | 完成後の検査に合格しているか |
| 瑕疵担保の保険・保証書 | 保険加入の有無と、保証の内容 |
広告で見かける「耐震等級3相当」は、評価書や根拠資料があるかどうかで確かさが変わります。資料を見せてもらいましょう。
完成後の物件は、後から設計評価も建設評価も取得できません。判断に迷う場合は、第三者の住宅診断を検討してみてください。
リビングスペースの分譲住宅で性能を確認するには

リビングスペースの建売住宅で性能を確認するには
株式会社リビングスペースは、北陸(石川・富山・福井)と滋賀で、自社が売主となる建売住宅(分譲住宅)を企画・建築・販売しています。公式サイトの性能ページには、次の内容が掲載されています。
- 全棟、耐震等級3(住宅性能表示制度で最も高い等級)基準の住まいで、物件により木造軸組み工法(柱と梁で骨組みをつくる工法)とモノコック工法(壁・床・屋根を一体の面で支える工法)を併用
- 建物の下すべてを基礎にするベタ基礎の採用
- 全棟で断熱等級5以上(住宅の断熱性能を示す等級)、ZEH(年間の一次エネルギー消費量が概ねゼロ以下になる住宅)基準を超える住まい
- 全ての住宅でBELS(建築物の省エネ性能を第三者機関が評価する表示制度)省エネラベルを取得
UA値やC値などの数値、評価書の取得状況は、物件によって異なります。〈要確認: 物件ごとの設計・建設住宅性能評価書の取得状況と開示方法〉
見学の際は、気になる物件の評価書や等級の根拠資料があるかを、担当者にお尋ねください。本記事で紹介した4分野の見方が、そのまま役立ちます。物件情報は公式サイトの物件検索から、見学のご相談は金沢本社・福井本店・富山店・彦根店で受け付けています。
まとめ

住宅性能評価書には設計と建設の2種類があり、最初に表紙で確認します。等級は、基本的に数字が大きいほど高い性能を表します。
見る欄は、耐震・劣化対策・温熱環境(断熱と省エネ)・維持管理の4分野で十分です。評価書で分からない日当たりや仕上げは、現地確認と、必要に応じた第三者診断で補いましょう。評価書がない場合は、構造計算書やBELSなどの代替資料で確かめます。
まずは気になる物件の評価書を手元に並べて、4分野の等級を比べてみてください。資料請求や見学の予約も、お気軽にご利用ください。
住宅性能評価書の建売住宅での見方についてよくある質問

評価書の見方で、初めての方がつまずきやすい疑問をまとめました。詳しくは各見出しもあわせてご覧ください。
評価書がない建売住宅は避けるべきですか?
避ける必要はありません。評価書の利用は任意です。構造計算書や耐震等級の根拠資料、BELSなどの第三者評価、検査済証、瑕疵担保の保険を確認して判断しましょう。詳しくは「評価書が付いていない建売住宅はどう判断する?」をご覧ください。
設計住宅性能評価書だけでも安心できますか?
設計評価書は図面上の評価で、現場検査を経た結果ではありません。建設住宅性能評価書の交付予定があるか、不動産会社に確認すると安心です。違いは「設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の違い」で説明しています。
等級はどれを目指して選べばよいですか?
一つの目安として、耐震等級3、劣化対策等級3、断熱等性能等級5以上(ZEH水準)、維持管理対策等級3を比べる方法があります。予算や希望とのバランスで決めましょう。各等級の意味は、4つの分野の解説をご覧ください。
完成済みの建売住宅でも、評価書は後から取れますか?
完成後の物件は、後から設計評価も建設評価も取得できません。取得状況は、販売図面や資料の段階で早めに確認してください。評価書がない場合は、代替資料や第三者の住宅診断で補う方法があります。
等級が高いと、価格も高くなりますか?
一般に、性能の高い仕様は建築費に影響する場合がありますが、価格は物件ごとに異なります。評価の費用は評価機関ごとに定められています。価格と等級は、複数の物件の評価書を並べて比べて判断しましょう。